山菜というものがある。
山とは文字通り“山”である。九州でなら、ちょいと視線を遠くに投げれば見えるアレである。周囲の土地を比べて、高く盛り上がった地形や場所のことを山という。
地形学では丘陵や台地に比べて、周囲との相対的高度差(比高)や起伏が大きいものを指して“山”というらしい。
そして“菜”とは、酒や飯に添えて食べるものを指す言葉である。つまりは“おかず”のことである。
そして“山菜”は、山野に自生し、食用に適した植物の総称である。
私の現住所は福岡県福岡市なのだが、出身は大分の山奥である。山奥であるため、この山菜というのが存外にあっさり、そして結構な量、手に入るのだ。
というわけで、実家の父母から、実家(の近くの山)で採れた山菜を送ってもらった件について、ちょっとブログっていきたいと思う。
■CASE①たらの芽の天ぷら
送ってもらった山菜は3つ。
「たらの芽の天ぷら」と「畑わさびの醤油漬け」と「わらび」である。しかし「畑わさびの醤油漬け」は、ホームワイド(大分によくあるホームセンター)で買って来た苗から採取したものらしいので、今回の記事では省かせてもらう。

なのでまずは、たらの芽の天ぷらについて紹介していく。
紹介するといっても、私はあまり「たらの芽」について詳しくない。
なんだったら、この記事を書くに際してはじめて「たらの芽」がどんな風に生えているのかを調べたまである。
名前からして「たら」という何かの芽なのだろうなぁ……ぐらいにしか思っていなかったし、何だったら幼い頃は「ちょっと苦い野草を、なんだって親父は嬉々として摘んでくるのだろう」とさえ思っていたのである。
さて、そんな得体の知れないたらの芽であるが、なんでもウコギ科の落葉低木「タラノキ」の新芽であるらしい。
落葉低木とはなんぞや? と言うと、まぁイメージしやすいところで言うと、紫陽花などがそれにあたる。あんな感じの、ひょろっとした木に生えて来る新芽を、うちの親父は嬉々として摘んできて、衣をまぶして揚げていたわけだ。
今回、大人になって、随分と久しぶりに“たらの芽”の天ぷらを食べた。
昔ほど苦くは感じなかった(とはいえ、苦いは苦い)し、昔より薬味的な“香り”も分かるようになった。
野菜に近い感覚で美味しくいただけたわけである。
それはそれとして、やはり「食用」に調整された野菜に比べて、野草独特の草っぽさは感じた。
今の時期なら、ちょっとお山の方の道の駅とかにも売っているので、天ぷら揚げるのが苦じゃない人は、見かけたら買ってみるのも一興では無かろうか。
■CASE②わらび

次にご紹介するのが、こちらの“わらび”という野草である。
漢字で書くと“蕨”である。
そう、皆さんご存知源氏物語に含まれる“早蕨”の蕨の正体がこいつだ。
「この春は誰にか見せむ 亡き人の形見に摘める 嶺の早蕨」で言うところの早蕨とはつまり、芽を出したばかりの蕨のことだ。
ちなみにこいつの根から抽出したでんぷんを使って作った餅が、時々、自転車で牽く屋台で売られているのを見かける、かの有名な「わらび餅」である。
味はまぁ、えぐみの少ない草って感じだ。
嫌いじゃない。嫌いじゃないんだが、なんかこう……実家でみそ汁に入ってた蕨に比べて、私が食った蕨はどうも、喰い辛い感じの味と硬さであった。
たぶん、何かしらの調理工程が足りていないのだと思われる。
幸いなことに1キロほど送ってもらったので、もう少し試行錯誤しつつ、美味しく食べられるように仕上げてみたい。
というわけで、この辺りで山菜の話は終わりにしよう。
今回、この記事を書いて改めて感じたことがある。それは、「俺、食レポ苦手だな」ということだ。
味覚が鈍いのかもしれない。
何食べても美味しいから、もう「美味しかった」以外の感想が無いのだ。
好き嫌いも無いし、苦手な味も特にないから……食べ物の味について、あまり深くを考えたことが無いのである。